備忘録#2 主成分分析

 県内ため池等20地点で、定期的に集め続けたカワバタモロコと共生生物種、環境要因のDATAが蓄積されてきた。2月までDATAを取得すると1年間分になるため、その情報を数理統計的に解析して論文としてまとめたい。

 繰り返しになるが、近頃直近の記憶力が低下してきているように感じる(感じるのではなくて、たぶんそうなのだろうが)ので、備忘録として主成分分析に用いたコードを備忘録として記録してみる。

# 主成分分析
install.packages(“psych”)
install.packages(“GPArotation”)
library(“psych”)
library(“GPArotation”)
pca1<-prcomp(p1,scale=T)
pca1
rownames(pca1$x)<-c(“03/24″,”04/24″,”05/24″,”06/24″,”07/24″,”08/24″,”09/24″,”10/24″,”11/24″,”12/24″,”01/25″,”02/25”)
summary(pca1)
biplot(pca1,main=”St.1″)
barplot(pca1$rot[,1],main=”St.1″)
barplot(pca1$rot[,2],main=”St.1″)
barplot(pca1$rot[,3],main=”St.1″)

いつものことながらRの使い勝手の良さには感嘆する。6行目におけるscale=T は数値のスケールが合っていないとき(例えば次元1の単位が m 、次元2の単位が kg であるようなときのことを指す)に用いるオプションで、スケールが統一されている場合は不要。ここで T を指定すると相関行列から主成分分析が行われる。

調査地点のひとつにおけるカワバタモロコの出現個体数を含めた多次元のDATAを低次元のDATAに縮約するとこうなった。PC1軸からみるとカワバタモロコの出現個体数と水温・pH正の相関があり、電気伝導度は負の相関がありそうなことが分かる。溶存酸素量はPC2軸に寄与しておりカワバタモロコの出現個体数には強く影響しない結果となった。

 さて、Genetic population structure of Hemigrammocypris rasborella inferred from mtDNA sequences(Watanabe K et al. 2014)で取り上げられたカワバタモロコ香川県個体群はほぼ絶滅してしまった。筆者の知る限りでは、
 28…アメリカザリガニの侵入によりほぼ絶滅(今年度は1個体のみ確認)
 29…おそらく異常渇水時に絶滅
 30…管理放棄により調査地への到達が困難、前回の調査時には数個体のみ確認
 31…渇水により絶滅
となっている。何処が主体となって調査・保全を進めていくかも定まっておらず問題は山積だ。

 香川県におけるカワバタモロコの主力である生息地はため池だが、農林水産省から令和5年3月に「防災重点農業用ため池の廃止工事における生態系配慮について」なるガイドラインが発表された。行政は生物多様性の保全を鑑みてため池の集約に取り組んでいるのだろうか。
防災重点農業用ため池の廃止工事における生態系配慮について
 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kankyo/kankyo_hozen/tameike.html