多産と子守、食性が仇となったブルーギル

筆者がブルーギルを初めて見たのは、小学校4年頃だったかと思います。何をエサにしても釣れるヘンな魚で、おまけに仔魚は表層に群れることが多いので虫取り網で一網打尽にできるお子様にとっては捕まえやすい魚でした。

ブルーギルこのブルーギル、全長10~25㎝、1回の産卵数は平均的なサイズの個体で21,000~36,000粒、魚体サイズが大きいほど1回の産卵数は顕著に増加し、全長23.5㎝の個体では64,000粒に達するそうです。

タモロコの産卵数が約2,100粒、モツゴが約350粒、フナが約1,200粒であることから多産なことが分かります。

6月~7月、オスが作ったすり鉢状の巣で産卵が行われます。卵から孵化した仔魚が稚魚になる寸前まで7~10日程度、オスが保護します。ブルーギルは一産卵期に多回産卵を行うことが広く知られています。

そうした理由で、ブルーギルのいない水域を探すことの方が難しいくらいに殖え続けてしまいました。

浮遊動物、水生昆虫、エビ、水生植物などを好み、魚卵や小型魚なども捕食する雑食性、何をエサにしてもよく釣れるわけです。

1960年に日米修好100周年を記念して、皇太子自らが「非常に釣りやすい魚なので、都会地で子ども達が釣りを楽しむのに好適な魚と考えた」とブルーギルの提供を依頼し、訪米した当時の皇太子にブルーギルがシカゴ市長から贈られた、という経緯に当てはまります。

この多産と子守、食性が仇となって、爆発的に増加し、もともといた日本の淡水魚を次々と食べ尽くしました。

外来生物法で特定外来生物に指定されていて、愛玩・鑑賞の目的で新たに飼養することは禁止されています。ブルーギルを許可なく野外に放った場合(まず、許可は下りません)、個人については懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金が課せられる危険な魚です。