魚を通せんぼ!

河川に横たわるこういう横断構造物を見かけませんか?

そう、堰です!川から堰を見ると写真のような感じです。見るからに通せんぼしてると思いませんか?

堰は、魚の遡上や降海を著しく妨害しています。魚には川と海を行きかう=通し回遊する魚がいます。1年のうちで生息場所を移動する魚もいれば、生活環のある期間で移動する魚もいます。いわゆる淡水魚として知られていても、実は一生のどこかで海を利用しているという魚はまぁまぁいます。

ふだんは川で生活していますが、海に降って産卵し、誕生した仔魚が川をさかのぼる場合を降河回遊といい、ウナギなどが当てはまります(川に上らず沿岸域で過ごすウナギもいるそうですが)。

ふだんから川で生活していて、産卵も生まれも川ですが、生活環の一部で一旦海に降り、再び川をさかのぼる場合を両側回遊といい、アユ、ヨシノボリ類、ウキゴリ、チチブなどが当てはまります。

まず、そういった通し回遊する魚を著しく減少、または全滅させます。

次に堰の上流側が止水域になるので生物相が大きく変わります。流れのあるところに生息するカワヨシノボリなどは姿を消します。また、オオクチバスやブルーギルが定着しやすくなるので、これらの侵略的外来種が定着した場合は在来種は危機にさらされます。

次に生息域が分断されるので、種の交流が阻害され遺伝的形質の劣化の問題が生じます。

日本には約2,700のダムと84,000あまりの砂防ダムが存在するらしく、取水堰などの河川内横断構造物に至ってはその総数を誰一人として正確に把握していないのが実情です。

堰には工夫された魚道が設置される場合もありますが、県管轄の河川でそのような魚道を見ることはほぼありません。

ちなみにこの堰の下流側30mの区間には、コイ(飼育型)、ブルーギル、数匹のタモロコしかいませんでした。

一時期に比べて、河川の水質はよくなった印象があります。しかし、生物多様性は向上していません。その原因は、外来種問題に加えて、ダムや砂防ダム、堰などの河川横断構造物だと考えています、あと護岸コンクリート化、三面コンクリート張り化。

今度、堰の区間ごとの魚類相調査をしようかと思っています。

堰が魚を通せんぼ!淡水魚の生息を脅かす脅威です。