種の個性は地域の宝だ!チュウガタスジシマドジョウ編
チュウガタスジシマドジョウは全長6~9㎝。本州・四国の瀬戸内海側周辺の河川中・下流域に生息しています。香川県では、オオシマドジョウよりも水の流れが緩やかで、細かい砂の中に生息している傾向があります。
チュウガタスジシマドジョウは分類の研究のなかで香川県高松市産の標本が関係しており、香川に縁がある魚として愛着があります。スジシマドジョウ属はシマドジョウ属以上に混沌としており、分類が非常に難しい淡水魚の1つです。なかには、十分な研究を行う前に数を減らしてしまった種も多くいます。
遺伝子の研究が進むにつれて、人の目にはわかりにくい種の違いも分かるようになってきました。「気のせいかもしれないけど〇〇の魚はなんか違う」という微妙な違和感がはっきりと違いとして分かるようになってきたのです。特にハゼのなかまやドジョウのなかまのように泳ぎが得意ではない魚は、他の種よりも地域の差がはっきりとしています。そのため、ひょっとするとある地域に生息していたドジョウが実は世界中でそこにしか生息していなかった新種だったということもあり得るのです。
ドジョウのなかまは人間の近くで生活をしている種が多く、環境の変化の影響を受けやすい種です。そのため、ドジョウのなかまの保全は農家の方や、その地域で生活をする人の理解と協力が必要不可欠です。保全をすすめるために、地域に生息する生き物とその置かれている現状を知ってもらうことが大切だと考えています。地域にすむ生き物を地域で守っていくあたたかい雰囲気が社会全体で出てきてくれると人も生き物も安心して暮らせる環境になると思います。