さよならインベーダー

オオクチバスあなたの街に突然インベーダー、例えばクマが現れたらどうしますか?

今日はとある湧水に現れたインベーダーのお話です。

アブラボテ、イトモロコ、カワムツが戯れる湧水に2年前のある日、突然インベーダー現れました。そのインベーダーは、先住民であるアブラボテ、イトモロコ、カワムツをバクバク食べ、すくすく育ちました。

在来の淡水魚はこれまで、口に入るあらゆる動物を食べ尽くすような食性を持つ遊泳性が高い魚を知らなかかったために、逃げる術も共存していく術も分かりません。遊泳性が強く、体長が大きくならないイトモロコからほぼ姿を見せなくなりました。

オオクチバス防除20200326近隣の湧水は多くの在来淡水魚を水面の上から見ることができますが、水域条件がほとんど変わらないこの湧水では明らかに在来の淡水魚であるアブラボテ、イトモロコ、カワムツは数を減らしていきました。

このインベーダーとはオオクチバス、オオクチバスを持ち込んだ(違法放流した)のは人間です。

持ち込んだのが人間であれば駆除するのも人間の義務、食べられた魚、水生昆虫からのメッセージ。

アブラボテ、カワムツの一時避難と同時に、オオクチバス捕獲を試みました。釣りによる捕獲に挑戦しますが、インベーダーも危険を察知してか食いつきません。

オオクチバス次なる試みは、中讃淡水漁業協同組合(丸亀市)、土器川生物研究会、地元水利組合の協力を得ての地引網。倒木や石組み護岸により作業は難航しましたが、1回目の地引網で1匹のインベーダーを捕獲することができました。これまでの視認からインベーダー数は2匹のため、2回目の地引網を実施。2回目地引網でもインベーダーは捕獲できなかったために、片方のインベーダーに捕食されたか、流出、死亡したものと思われます。

捕獲されたインベーダー=オオクチバスは、環境省・水産庁の許可のもと多度津高校ミニ水族館にて水族展示されます。公開日にはその食性をご覧できるようにしたいと考えています。全長40㎝オーバー、視認確認からによると2年間で20㎝ほど成長したことになります。

オオクチバス現在、オオクチバス(ブラックバス)は外来生物法で特定外来生物に指定されていて、家で飼育したり、野外に放流したりすることは禁止されています。違反すると懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金を払わなければいけません。

さて、クマは日本の在来生物でインベーダーと考えるのは抵抗がありますが、オオクチバスは明らかに外国からのインベーダー=侵略者。オオクチバスに侵略の意思はなく、責任があるのは違法行為をしてまで持ち込んだ人間です。

あなたは、あなたの大切な人が、街に出ざるを得なくなったクマによって捕食されていくのを見過ごすことができますか?

地引網は中讃淡水漁業協同組合(丸亀市)に付与された特別採捕許可に基づいて使用しています。