きえゆく生命の灯

椛川ダム20200325

 

香東川水系椛川に建設が進められている椛川ダム。

 

 

 

椛川200808242008年8月24日に水生生物調査をしたときの椛川です。淡水魚類では、カワムツ、タカハヤ、アマゴ、カワヨシノボリ、ドンコ、個体数は少ないけど四国最後の個体群であるカジカ大卵型(カジカ陸封型)、両生類ではカジカガエル、アカハライモリなど、水生昆虫ではオニヤンマやカワトンボ科のヤゴ、ヘビトンボなど多くの生き物が見られる生物多様性が高い場所でした。

 

椛川202003252020年3月25日、ダム建設が進む同地点です。山は削られ、木は切り倒され、川は大きく掘削され、いたる所でコンクリート固めされてしまいました。

ダム湖ができると在来の生物多様性が大きく損なわれることは明らかです。環境改変を美化するためにコイ(飼育型)あたりが放流されるのでしょうか。放流するにしても香東川由来の水生生物で行ってほしいものです。

香東川は治水対策が進み、香東川が氾濫したのは昭和51年が最後だったかと記憶しています。それ以降も浸水被害は出ていますが、大きく氾濫したことはありません。

浸水を防ぐには支流の一つにすぎない場所でのダム建設よりも、水害に強い堤防を都市の再開発と一体化させた高規格堤防の建設や遊水池の確保、排水設備の充実の方が確実です。

渇水対策にしても2008年に300万トンの水をためておける宝山湖という香川用水調整池が完成しました。節水意識が高まったこともあって、宝山湖完成以降、渇水による高松市の断水はありません。

加えて市町村合併を考慮すると、高松市人口は減少傾向を示しており、節水意識を放棄しない限り、家庭での水需要も減少することが想定されます。

ダムや堰の建設により、きえゆく多くの生命の灯。野生生物を絶滅に追いやっていく行為を続けるか、自然を守るか。

子どもたちが自然と疎遠になり、ゲーム・SNSに没頭するのも時代の必然かもしれません。