保全のシナリオ
日本列島には、約400種の汽水・淡水魚が生息していますが、環境省が作成したレッドリストでは、絶滅危惧種数が改訂の度に増加し、平成25年2月に公表した第4次レッドリストでは167種と、評価対象種に対する絶滅危惧種の割合が42%と分類群の中で最も高くなりました。
香川淡水魚研究会では、絶滅を防ぐために積極的な保全シナリオを描いてます。例えばカワバタモロコ、本県では比較的小規模なため池を生活の場としています。現在、本会が把握している天然分布と思われる池は7、保全池は4です。本会では保全池を少なくとも10は持ちたいと考えています。
天然分布と思われる池は、すでに管理がなされていないため池であったり、農業者の高齢化のためにいつまでも良好な状態で保たれるか保証されていない池が多く、カワバタモロコにとって危機的な状況に陥りつつあります。
でも、どんなため池でも保全に供せるかといえば、答えはNo!です。
最低条件として、
- オオクチバス・ブルーギル・アメリカザリガニ、できればミシシッピアカミミガメがいないため池である。
- 池主さん、土地改良区、水利組合などため池に関わる方々の同意が得られる。
- カワバタモロコの保護に資すると県が認めるようなため池である。
- 水質が富栄養化しずぎておらず、水生植物帯がある。
- サギなどの捕食者による捕食圧が高くない。
- 今でも農業で利用されており、かつ水位操作がある程度可能なため池である。
- 移殖する個体群と同水系、もしくは遺伝子攪乱が起きないような水系のため池である。
- 本会が定期調査できる場所にあるため池である。
- 万が一、オオクチバス・ブルーギルなどを違法放流された場合、池干しによりオオクチバス・ブルーギルなどを完全駆除できるため池である。
が挙げられます。これらの条件をクリアできるため池は多くはありません。本会と利害関係者との話し合いでそれらの条件をクリアした、ため池が誕生しました。
この5月に移殖放流し、再生産サイクルに導けるかどうか定期調査していきます。上手くいかない場合は、泥流しを伴う水抜きによる水交換をしたり、水生植物帯を作ったり…です。
5年をめどに安定した再生産サイクルが確立できるように努めます。
絶滅の恐れが高いカワバタモロコを守るために、オオクチバス・ブルーギルの違法放流は控えて頂きたいです。