衝撃の水路ざらえ

マツカサガイ共同で「川ざらえ」をする地域があります。お年寄りは「いでざらえ」、子ども達は「ドブさらい」とか言っていて、早く言えば水路の大掃除です。川ざらえ作業は、農業を営む地域では、毎年途切れることなく、今日まで続いている数少ない農村行事の一つだと思います。

香川県は水を必要とする時期しか水を流さない水路がほとんどですが、中には1年を通じて多くの水を通水している水路もあります。そういった水路には、カワムツが泳いでいたり、コイが放流されていたり、カワニナが棲んでいたり、どこからともなくミシシッピアカミミガメが流れてきたりします。そして、ごくまれに希少な生物が生息していたりもします。

マツカサガイある水路でマツカサガイが高密度で生息していることが分かりました。マツカサガイは、環境省カテゴリー:準絶滅危惧、香川県カテゴリー:絶滅危惧Ⅰ類に指定される、淡水にすむイシガイ目の二枚貝で、日本固有種だとされています。毎年の水路ざらえで、たぶん1,000個体以上のマツカサガイが泥上げで干され死滅していたようです。たとえ高密度でマツカサガイが生息していても、生き物に配慮のない工事などの環境改変で、あっ、という間に絶滅するのはよくある話。ましてや地味な淡水二枚貝は、まず人の関心を集めません。ここもその例にもれず、地域の人はマツカサガイなど興味の微塵もないようです。というわけで、これから水路ざらえが行われようとしている場所のマツカサガイを救出、避難しました。

来年は、泥上げに混じったマツカサガイを戻して頂くか、高密度にマツカサガイが生息する環境条件のいい区間を保全してもらえるようにお願いしたいと思っています。