ヌマムツとの思い出

ヌマムツ筆者の好きな淡水魚の1つにヌマムツがいます。

小学生だったころ、近くの川でフナやタモロコに混ざって時々釣れました。香川は元々タナゴ類の生息数が多くないため、川で釣れる派手な魚にあこがれがありました。タナゴ釣りの気分で派手な婚姻色のヌマムツが釣れると「当たり」です。1本竿の浮き釣り仕掛けで、ミミズを流して釣っていました。玉浮きがもぞもぞっと動いた左右に動き出す当たりは独特で興奮しました。産卵期にはオスの体が真っ赤に染まり、追い星が顔中に出て厳つい顔になった姿がかっこよかったことを今でも覚えています。

ヌマムツは、当時カワムツA型と呼ばれていました。飼育すると派手にジャンプをして日干しになったり、予想以上に獰猛で混泳させようとしたメダカを追い回して、気づいたら全部食べたりとなかなか手を焼きました。一方、酸欠には弱いデリケートな面もありました。

よく似たカワムツ(当時はカワムツB型)は川の上流側に、ヌマムツは下流側や流れの緩やかな用水路に生息しています。胸びれと腹びれの前縁に赤い縁取りが入るのがヌマムツです。カワムツに比べてヌマムツの鱗が小さいようで、見た目から受ける印象も若干違います。

かつてヌマムツと遊んだ川は改修工事が入り、今では当時の面影は全く残っていません。もちろんヌマムツはいなくなってしまいました。全国的に見ても減少傾向にあるようで、香川県では2002年のレッドデータブックで絶滅危惧種Ⅱ類になっています。確かに意識して探さないと見つけられなくなりました。

愛媛県では令和元年に特定希少野生生物に指定され、新たな捕獲ができなくなりました。罰則もあります。

今、当時の川にヌマムツがいないか調べていますが、なかなか見つかりません。

思い出深い魚が静かにいなくなっていくことに寂寞の想いを抱きます。

※ 寂寞…心が満たされずにもの寂しいさま