カオス!「シマヒレヨシノボリ」

 香川県のため池では、ごくふつうに見られるシマヒレヨシノボリ。かつては「トウヨシノボリ縞鰭型」と呼ばれていた種。ニッポンバラタナゴの保全には欠くことができない一員だ。とりあえずドブ貝の再生産が可能か、確かめるためにドブ貝とシマヒレヨシノボリをセットで移殖するが、水質に問題がない場合、ほぼほぼ順調に増える魚である。そういう事情に加え、撮りにくい(=ピントを合わせることが難しい、筆者だけかもしれませんが…)こともあって今まで写真記録をあまり残してこなかった種だ。

 さてこのシマヒレヨシノボリ、ため池でたまにシマヒレヨシノボリとは言い難い個体を見かけることがある。胸鰭の分枝軟条を数えて18本以上であればトウヨシノボリかも、ということになるが香川は移入分布?とされているらしい。さらに香川のため池はフナの養魚に供されているところが多く、そこにはオウミヨシノボリが持ち込まれているらしく、シマヒレヨシノボリとの交雑個体を生み出しているらしい。興味深いぞ、シマヒレヨシノボリ&トウヨシノボリ&オウミヨシノボリ!

 平野部のため池は過去に養魚池として利用されていた地点が多い。すなわちオウミヨシノボリが混入していた可能性が高く、交雑の可能性を秘めており、見極めが難しい。STAFF談によれば「カオスの一言に尽きる」。

 ひとこと言えることは、ニッポンバラタナゴの保全はニッポンバラタナゴのみに注目が集まりがちだが、当然のことながらヨシノボリにも気を遣いたい。