白いダイヤ「シラスウナギ」

 透明な姿と希少性から「白いダイヤ」と呼ばれ、高値で取引されるシラスウナギ。いつの頃からだろうか、ありふれたシラスウナギが稀な魚となったのは。筆者が遊び親しんだ新川は、その昔国道11号線の直下に段差障壁がほぼない石堰が設置されており、堰を伝いガサガサを楽しんだ。マハゼ、ボラ、小学生の当時はハゼの見分けなどできなかったので不明だがおそらくヒナハゼ、アシシロハゼ、クボハゼなどが採れた。春になり水温が温かくなる頃、これらの魚に加えて数多く採れたのがシラスウナギだ。金魚網ひとつ、1時間で100匹ぐらいはラクラク採集できた。もちろん昼間の話であって、闇夜の中、夜の水面を集魚灯で照らしながら採るとかいった方法ではない。

 いつしか新川にはゴム堰に置き換わり、川遊びができる川ではなくなってしまった。同時に棲む生物相が変わり、シラスウナギの姿も見なくなった。

 本会にしては珍しく河口付近の調査をする運びになり、川幅3m程度の小河川で、久々に白いダイヤ「シラスウナギ」を確認した。クロコは何回か確認したことがあるが、シラスウナギは、網目からすり抜けるため、狙って調べないと見つからない魚だ。撮影後は成魚に育つことを祈願して再放流。

 TDS136[ppm]、この小河川は年中水の流れがあり、大規模な堰は見当たらず、生活排水は流れ込んでいないように見える。環境さえ良好であれば、シラスウナギは健在のようだ。

 実際下水道整備などが進んだこともあり、水質最悪期からは水質改善された。複数河川で堰手前までのアユの遡上も確認している。問題は多すぎる堰などの河川横断構造物だ。そしてたいていの堰は、有効な魚道の設置などの配慮に乏しい。

 「香川」という名前は、「香の川」からきているといわれている。昔、香川の奥山に、樺河というところがあり、その地に「樺の木」が育ち、流れる川の水に香りをうつしたことから、「香川」になったと全讃史は伝えている。いたずらに河川横断構造物を増やすのではなく、果たして本当に必要な堰なのか精査してほしい。良好な状態で水が流れなくなった川は、ヘドロの香りがする川となる。今の香川の川を見て、昔の人はなんと思うだろうか。

※シラスウナギの調査については、香川県漁業調整規則第39条第1項の適用除外、特定水産動植物採捕許可を受けています。