本会会員が、香川生物学会にて「香川県東讃部におけるカワバタモロコ調査の記録」を発表しました。
カワバタモロコHemigrammocypris rasborella(以下、本種と記す)は,コイ科ラスボラ亜科カワバタモロコ属に分類される日本固有の淡水魚類で,環境省カテゴリー絶滅危惧ⅠB類(EN),香川県カテゴリー絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に選定されている(香川県,2021)。全長3~9㎝,本州中部以西,四国の瀬戸内海,九州北西部に分布し,平野部の砂泥質からなる浅い池沼,ため池,用水,また河川では岸辺に水草が繁茂する場所などの緩流域に生息する。繁殖期は6~8月で水草や水に浸かった岸際の植物に卵塊を産みつける(藤田;細谷,2015)。近年の本種の減少要因として岸部のコンクリート張りへの移行による水草帯の消失やため池の埋め立てなどの生息地改変が挙げられる。また,アメリカザリガニの侵入によって水草が刈り取られることによる産卵床の減少や消失,オオクチバスやブルーギル等の外来魚による捕食も減少の一因と考えられる(大阪教育大学紀要,2015)。これらの要因に加えて気温上昇によるため池の渇水や管理放棄によって,本種の生息が危機的状況に陥っている。香川県東讃部における本種の生息状況を明らかにし、本種の保全に貢献するために調査した。