本会会員が、香川生物学会にて「香川県におけるカジカ大卵型の調査記録」を発表しました。

 カジカ大卵型Cottus polluxは,スズキ目カジカ科に属する日本固有の淡水魚類である。全長8~15cmで,本州,四国,九州北部に分布する。本種は河川の瀬の石や砂利底に身を潜めていることが多く,一生を河川で過ごす。水生昆虫や甲殻類,小魚などを捕食し,繁殖期の2月から6月に,瀬にある大型の浮石の下に産卵し,卵は雄が保護する(細谷,2016)。近年,ダム建設など河川横断構造物の設置を伴う河川開発による隠れ場所や産卵場所の消失等,生息条件が悪化しているため,生息個体数が著しく減少していることから環境省カテゴリー準絶滅危惧(NT),香川県カテゴリー絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN),香川県内の希少野生生物(絶滅のおそれがある野生生物)のうち特に保護を必要とする種に選定されている(安芸ほか, 2021)。しかし有効な保全策や保護活動が行われていないのが実情である。本種の生息状況を本調査によって明らかにし,その生息環境について考察することで本種の保護に貢献することを目的とした。