絶滅の恐れがある淡水魚類調査

香川淡水魚研究会では、絶滅の恐れがある淡水魚類調査を行っています。これまで多くの希少な野生生物を含む生き物調査を行い、香川県などの関係機関に報告してきました。

カワムツ香川県は水に恵まれておらず、夏になると流水量がかなり減る河川がほとんどです。

またある程度の流量がある河川ではどこかに必ずと言っていいほどダム湖や大規模なため池が作られています。堰による分断も激しく、個体群が孤立しており、ある区間の個体群が絶滅すると、水域ネットワークが脆弱なため、台風などで個体の流下などがない限り、特定種の絶滅区間が増加していくことが懸念されます。

今回の調査対象種のアカザとムギツクもその一例です。2種の生息地はとびとびな傾向が見られます。タカハヤ香川県では、オイカワ・カワムツ・タカハヤは堰などで著しく分断されていない河川においてはふつうに見られますが、イトモロコ・ムギツクなどは見つけることが困難です。なぜそのような結果になったかについては様々な要因が考えられますが、興味の尽きない問題です。

さらに密漁者による淡水魚の採集、販売も問題です。絶滅危惧種に指定されるとそのプレミアム性が話題になるのか、こぞって販売されるようになります。絶滅危惧種についてはその種の希少性だけでなく、なぜその種が希少になったのか?、種分化や地理学的な価値、アカザ開発行為と自然環境保全の関係などにも目を向けてほしいと願っています。

ホームセンターやペットショップ、ネットオークションなどでの絶滅危惧種の購入は、絶滅に加担する行為です。

今日は前から調査したいと考えていた2地点での調査。30年くらい前は、アカザもムギツクもふつうに見られたとの情報を得ています。

まずは、アカザ。4個体ほど確認できました。調査後は再放流しますこのアカザ、香川県ではアカザシとかアカマンキリとかアカナマズとか呼ばれています。さらに、オイシャサンとも呼ばれていたそうです。胸鰭と背鰭に鋭く毒のある棘条があり、その棘条に刺されると痛いことからつけられた地方名でしょうか、特徴を捉えています。

ムギツクは発見ならず。次回調査に持ち越しです。

そろそろアカザなど多くの淡水魚の繁殖シーズン、産卵を邪魔しないために、河川でのたも網による調査はしばらくお休みになります。繁殖期が終わるころに多くの稚魚が見られることに期待したいです。

いきもの好きな皆様にも4月から7月頃までは、これからも多くの淡水魚に出会うために、川での魚とりはしばらくお休みにして頂けると幸いです。