出た~

暖かくなるとイロイロな生き物が活動を始めます。

反対側の岸に渡ろうとすると、1本の浮遊物が…

木かな~、とか思っていると水底から伸びている感じではありません。そもそも木は水中から伸びません。じゃ、木が流れてきたのかな?と思いましたが、茶柱ぢゃあるまいし、ふつう木は直立不動で流れてくることはありません。

しばらく様子を見ていると、身体を反転させて素潜りをし、潜水艦モードになり、2分ぐらい潜水したのち、空気泡を出し、泳ぎ去っていきました。

さあ、これはなんでしょうか?

正解は…ヤマカガシです。

ヤマカガシ北海道を除く、全国に分布するふつうに見かけるヘビです。一般に大人しいとされていますが、筆者は何もしてないのに筆者に果敢に立ち向かってくる攻撃的なヤマカガシに出会ったことがあります。主にカエルを食べていますが、有尾類、ニホントカゲ、カナヘビ、魚類なども食べているようです。毒をもつため多くのヘビが食べるのを避けるヒキガエルも大好物。水田などを生活の場とする人との関わりも深いヘビ。

かつては無毒とされていましたが、猛毒ヘビで日本最強クラスです。その毒の強さは、沖縄県のホンハブの10倍の強さ、マムシ毒の3倍の強さに及ぶそうです。デュベルノワ腺(Duvernoy)毒と頸腺毒の2種類を持ちます。ヤマカガシの毒牙は口内のかなり奥にあり、牙自体もかなり小さく、その構造ゆえ、たとえ噛んでも皮膚を破ることがほぼなく、それのせいで無毒だと思われ続けたようです。ヤマカガシの頚部付近から分泌される毒は、ヤマカガシが食べたヒキガエルから取り入れたもので、幻覚性があるといわれます。

2017年7月に福岡県と兵庫県で小学生の男の子がヤマカガシにかまれ、血清治療で回復しましたが、その血清がなくなるかもしれないようです。自然環境の変化による個体数の減少で製造に必要な毒を集めるのが難しい上、重症化することはまれで、採算性の低さも要因です。現在使用されている血清は2000年作成のもの。毎年検査で効果は確認しているようですが、経年劣化を考えると再製造は不可欠。血清を作るには数百匹のヤマカガシを捕獲して毒を採取しなければいけませんが、環境変化で餌のカエルなどが減少し、ヤマカガシそのものが減っています。

夏の水辺遊びでかまれないようにご用心を。