絶滅の恐れがある淡水魚類調査

香川淡水魚研究会では、絶滅の恐れがある淡水魚類調査を行っています。これまで多くの希少な野生生物を含む生き物調査を行い、香川県などの関係機関に報告してきました。

カワバタモロコ本県は、数は兵庫・広島には負けますが、日本で有数のため池王国です。日本で一番ため池の多い県は兵庫県でその数は47,596ヵ所、2番目に多い県は広島県で20,910ヵ所、3番目は香川県で15,990ヵ所らしいです。でも香川県のため池数はおそらく正確ではありません。個人所有の小さなため池や管理放棄により湿地化してしまったため池やいつの間にか土砂が堆積して埋まったため池が数多くあるからです。

そんな小さなため池や湿地化しそうなため池を生活の場とする小さなコイ科の魚がカワバタモロコです。

特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、商業目的の販売・頒布のために行われる捕獲等又は譲渡しは禁止。環境省カテゴリー:絶滅危惧ⅠB類(EN)、香川県カテゴリー:絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に属し、香川県内の希少野生生物(絶滅のおそれがある野生生物)のうち、特に保護を必要とする種に指定されています。指定希少野生生物は、生きている個体の捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という)が原則禁止されていて、違法に捕獲等した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が適用されます。

カワバタモロコは、本州の中部地方(静岡県瀬戸川水系)以西から岡山県の瀬戸内海側までと、四国の瀬戸内海側(徳島県・香川県)および九州北西部(福岡県・佐賀県)に分布します。止水域で、抽水・浮葉・沈水植物が存在する環境を好み、少数で群れをつくって表層付近を遊泳する習性があります。

カワバタモロコ繁殖期は5月から7月、岸辺や浅場に生い茂る水草、冠水した陸上植物の茎葉などに多数の卵をまばらに産みつけます。 

今年も天然分布するため池のひとつで生息が無事確認できました。

農業で使われなくなったため池が増えてきており、水の富栄養化で水生植物帯が失われ、カワバタモロコの生息が危うくなってきている生息地が増えつつあります。また、自然災害や工事によるため池の消失などでカワバタモロコが突然消え失せるケースもあります。数年前、とあるダム工事で環境アセスメントが十分に行われなかったケースがあり、危うく生息地が湖底に沈みそうになったこともありました。

カワバタモロコを絶滅から守るために、香川淡水魚研究会では保全池を10以上確保しようと画策しています。今年は管理の行き届く保全地を2か所加えることができる予定です。

カワバタモロコが少しでも、ふつうに見られる魚、になるように努めたいと思います。