保護地区の水生生物調査
香川淡水魚研究会は、希少な生物が生息する地区の定期的な水生生物調査、保全活動を関係団体と協働して行っています。ガマの間引きをしたいと、協働する団体から連絡があったので、ガマの間引きと新たな保全池に間引きしたガマの一部を移植することにしました。
当日の気温は27℃、5月下旬にして夏日です。この池は水深が浅く、その原因の一つが枯死した抽水植物が堆積してヘドロ化していることです。ヘドロ層は最大80cmくらい、底樋を抜いて池の水を流したいところですが、底樋は機能しておらず、また底樋が抜けたとしても今度は閉じれる保障がありません。昨冬にポンプで池の水を抜き、池干ししましたが、状況は大きく改善されませんでした。そこで、優占しつつあるガマを間引くことで、ヘドロ化を抑えたいとの実験です。
この池では、ガマの他にコウホネ、ヒシ、エビモなどが見られます。ボートで池の中心部へ。中心部へ生息場所を拡大しようとしているガマを抜いていきます。中心部はヒシが優占していますが、放っておくとガマに追いやられそうです。
トノサマガエルがオタマジャクシから変態し上陸するシーズン。コウホネの葉の上には、多くのトノサマガエルやアマガエルが戯れていました。
ガマの間引き作業と同時に、子どもたちは淡水魚調査に挑戦。カワバタモロコとドジョウが見つかりました。数日前にはチュウガタスジシマドジョウやミナミメダカ、ドンコも見られたそうです。
人の手が入ることで保たれる里山などの二次的自然。
平成25年2月に作成された第4次レッドリストでは、汽水・淡水魚類のうち42%が希少種に選定されました。この割合は、哺乳類、鳥類等全分類群の中で最も高い割合です。その多くが、二次的自然を主な生息環境とする淡水魚であり、優先的に対応する必要がある、と環境省が提言しました。
二次的自然を主な生息環境とする淡水魚は、その多くが希少種に選定され、また、地域的な絶滅が懸念されるような危機に陥り、保全のための取組の必要性が特に高くなっています。その主な要因は、高度経済成長期以降の土地利用や人間活動の急減な変化等によってこれら淡水魚の生息環境が損なわれたことです。
高度経済成長期に、経済成長や人口増加などへの対応を優先して、生活を豊かにしてきた一方で、開発などの人間活動、自然に対する働きかけの縮小、人間により持ち込まれた外来種等により、生物多様性は大きな危機に直面しています。
「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚が生息する豊かな環境を保全・再生するため、関係主体が連携して地域における自主的な保全活動を促進する」とした環境省の指針の下に、現在生息する種及び地域個体群の絶滅を防ぐための活動を進めていきたいと考えています。