想い出がいっぱい

 

故郷のアメリカで拉致され、カメすくいの場で人身売買されていた私を見つめた優しい瞳の君。

カメすくいで、君に私は救われた。

毎日、甲羅干しのために日向に出してくれた優しい瞳の君。

1週間のうち、1日はごほうびだよと言って乾燥エビをくれた優しい瞳の君。

水が汚れてきて、私が入水しないでいると、水替えをしてくれた優しい瞳の君。

時は無限のつながりで、「いつまでも一緒だよ」と無邪気に笑う君の言葉を私は信じてた。

私をお散歩に連れ出して、君は甲羅の後ろをつまんだ、初めて見る世界に首を伸ばした。

ひとりだけ前向く記念写真、恋を夢見るころ。

大人の階段昇って、図体がでかくなって、ちょっとだけわがままになった私に、

そっけないそぶりを見せるようになった君。

いつもの散歩道、用水路で足を止めて、時計の音と人の気配を気にしてる。

時は無限のつながりで、しあわせは君がきっと運んでくれると信じてた。

今、用水路でひとりぼっち。

なんだか分からない調査員に捕まってひとりぼっち。

幼かったとなつかしく振り向くとき、まぶしい想い出がいっぱい。