水族展示にタガメが加わります
タガメは日本でもっとも大きい水生昆虫。大きな体と強力な前脚が特徴で、腹部先端には伸縮可能な呼吸管が付いています。
鎌のような前脚を使って、主に脊椎動物を食べます。カエルやドジョウ、メダカを捕食しますが、ときにはヤマカガシ、マムシ、ヒバカリなどのヘビ、小さめのクサガメを捕食することもあるそうです。
成虫は5~7月に交尾を行ないます。卵塊は水面上のイネ や杭などに産みつけられ、孵化までの1~2週間はオスが守ります。幼虫は5回の脱皮を繰り返し、2ヵ月前後で成虫になります。
タガメは農薬などの汚染に敏感で、非常に微量の濃度でも成長を阻害されるか、死んでしまいます。このため、農家が大量に農薬を使い始めた頃から、その数を急激に減らしました。それでも丘陵地のため池では水はけが良いせいか、本種の生息のよりどころとなっていました。しかし、近年のゴルフ場などの乱開発が、これらの生息地も次々と破壊し、芝生の除草剤などが汚染を進め危機的な状況にあります。
加えて、都市化による人工照明の増加、水田耕作の放棄・陸地化、愛好家による乱獲、アメリカザリガニによる捕食など種々の要因により、タガメの個体数は激減しています。全国版レッドデータブックに絶滅危惧Ⅱ類として記載されており、香川でも1970年代までにほとんど姿を消してしまったと考えられています。
5令から新成虫へと脱皮したタガメを新屋島水族館、多度津高校ミニ水族館、高松桜井高校で展示できるように現在調整中です。
里山の理解につながる展示ができればと考えています、ご期待ください。
※タガメは、特定第二種国内希少野生動植物種に指定されており、商業目的の販売・頒布のために行われる捕獲等又は譲渡しは禁止されています。