似て非なるコイの真実

香川県で見るほとんどのコイは外来種、又は在来種との交雑です。

外来のコイ(コイ飼育型)の侵入により交雑が進み、在来のコイ(コイ野生型)は琵琶湖、霞ヶ浦、児島湾、四万十川など大規模水域に限定的に残存するのみとされています。このことが分かったのは比較的最近のことです。生物・生態系環境研究センター 琵琶湖分室 主任研究員 馬渕浩司先生の「mtDNA 解析により暴かれたコイ外来系統の隠れた大規模侵略」と題した、2008年発表の論文で明らかになりました。

よく見かけるコイ(色ゴイでなく黒っぽいもの)は、明治時代以降に欧州、中国、台湾、インドネシアなどから輸入された外来種(コイ飼育型)で、コイ飼育型は養殖化が進んでいるため、警戒心が薄い一方、在来のコイ(コイ野生型)は極めて警戒心が強いとされています。

この外来のコイ(コイ飼育型)は、「ヤマトゴイ」と在来種っぽい名前で呼ばれているため、余計ややこしいことになっています。

各地で河川や湖沼に放流されたのはほぼ例外なくこの外来のコイで、外来魚を放流していたわけです。

 

外見上、コイ野生型はコイ飼育型に比べ、体高が小さく、体幅が厚く、全般に赤みが強い等の相違があるとされています。しかしながら、コイ野生型とコイ飼育型を確実に見分けるためには、ミトコンドリア(mt)DNA解析が必要です。

世界の侵略的外来種ワースト100に数えられるコイ。野放図なコイ飼育型放流と放流を美化する報道にはピリオドを打ち、コイを放流するにしても、せめてその地域のコイ野生型の個体数回復を目的とし、合意形成を図ったうえで行うべきです。

動画のコイはトンボ王国の展示個体、採集地は四万十川で体高が小さい様子がうかがえます。

 

DNAが語る日本のコイの物語 https://www.nies.go.jp/kanko/news/36/36-5/36-5-03.html