イモリとヤモリ
中学校で、生き物を展示すると多くの生徒たちが興味を示します。普段は地味なニッポンバラタナゴやカワバタモロコが産卵期にだけ見せる婚姻色に魅了され、アブラボテの縄張り争いにハラハラし、ドジョウのたたずむ姿に癒やされるといったように、それぞれの生徒たちがお気に入りの魚を見つけ、観察やお世話に取り組んでいます。
中学2年生の理科では動物の分類を学習します。ここで生徒たちがよくつまずくのが「イモリ」と「ヤモリ」の違いです。「イモリ」は両生類で水中や水辺の落ち葉の下に、「ヤモリ」はは虫類で民家の近くや枯れ木の下などに生息し、夜になると家の明かりや電柱の明かりなどによってきて虫を食べます。
しかし、生徒たちはよく違いが分からないようで、家の壁に「イモリ」がおったとか、「お腹が赤いヤモリをみた」とかめちゃくちゃです。
そこで、「イモリ」と「ヤモリ」と「カナヘビ」の3種を並べて比較できるように展示してみました。すると、やはり実物をみると違いがはっきりと分かるようで生徒たちの反応も好評!初めは怖いものと思っていたは虫類も意外に人気があり、休み時間には多くの生徒たちが観察を行っています。
イモリには毒があること、最近は生息できるところが少なくなってきている事などを伝えると真剣に観察し、興味をもってくれています。中には家族の人とイモリを川に探しに行ったり、ヤモリを飼い始めたりする生徒たちもでてきました。実際にフィールドに行くとなかなかイモリを見つけることができず、予想以上の個体数の少なさや川岸に多くのゴミが落ちているようすなどをみて、イモリなどの水辺の生き物がおかれている状況を理解したようです。
やはり、教科書でみるよりも実物を見て、さわって、という経験が非常に重要であることに気づかされました。
残念ながら昔は見られたのに、今は見られなくなった生き物は年々増えています。学校教育で多くの生き物の魅力を伝えていく重要性が高まっていると感じます。