ヤリタナゴ×タイリクバラタナゴか?

タナゴ類は、分類学的にはコイ目コイ科タナゴ亜科に属していて、日本在来のタナゴ類は、3属(バラタナゴ属、アブラボテ属、タナゴ属)16種類が生息します。うち、香川には、ヤリタナゴとアブラボテ、ニッポンバラタナゴが生息しています。

これとは別に国外外来種としてタイリクバラタナゴが定着しています。

ニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴが交雑して、遺伝子浸透や繁殖干渉によってニッポンバラタナゴが絶滅に向かう話は有名な話。香川でもタイリクバラタナゴが放流された水域を多数確認していて、ニッポンバラタナゴの危機だなぁ…と感じます。

今回は視点をちょっと変えてヤリタナゴとタイリクバラタナゴ。今日の調査地はヤリタナゴとアブラボテ、タイリクバラタナゴが共生する水域でした。

「ヤリタナゴ×タイリクバラタナゴ」、人工的な交配実験では、ヤリタナゴとバラタナゴの組み合わせからは、雑種第1代で不妊のオスのみが生じるそうです。

では、この個体はどうでしょうか?タイリクバラタナゴと言えばタイリクバラタナゴですが、なんとなくヤリタナゴの形質を兼ね備えているとの意見も。ヤリタナゴの背鰭条数はiii+8~9、タイリクバラタナゴの背鰭条数はiii+10~13です。個体写真の背鰭条数からするとタイリクバラタナゴ?眼は朱色をしてるのでタイリクバラタナゴ形質です。しかし、臀鰭条数はヤリタナゴ形質?

タイリクバラタナゴとヤリタナゴの交雑個体は富山県氷見市で確認されています(富山の生物59)。報告では、背鰭、臀鰭、尾鰭、胸鰭、腹鰭および眼の色彩を調べて、同定を試みています。

今日の調査地でも怪しき個体が多く認められるようであれば、本格的に同定研究を試みたいです。