にほんうなぎ

日本人に古くから愛されてきたにほんうなぎ。にほんうなぎの漁獲量は、1950年代後半から減少を続け、2013年には絶滅危惧種に指定されました。にほんうなぎは、フィリピン近海の海で産卵をし、その稚魚がまた日本の近海へと回遊してくる、謎の生態を持つ魚です。

河口堰の建設が、川の下流部への潮の侵入を阻み、流れを止めるだけでなく、海水と淡水の混ざった汽水水域を大幅に減少させるため、川へ入るにほんうなぎの稚魚=シラスウナギは遡上することが困難になります。

筆者が小学生だったころには大量のシラスウナギの遡上が近くの川で見られました。しかし、ゴム堰が建設されて以降シラスウナギはめっきり姿を見せなくなりました。漁業権魚種でありながら、たいして関心が払われなかったことも手伝って、シラスウナギが遡上できる河川環境が急速に失われていった感が否めません。

先日の生物調査で久々に二ホンウナギを見つけました。愛らしい顔つきとは裏腹にけっこうな肉食です。スジエビやメダカなどと同居させるとぱくぱく食べます。移動能力もピカ一、体長程度の段差障壁ならいとも簡単に乗り越えていきます。

さて、この二ホンウナギ、その稚魚のシラスウナギはここ2年豊漁のようです。稚魚相場は2020年平均の4割安、不漁だった2019年の半値だそうです。食卓にあがるうなぎの9割はシラスウナギを養殖したものです。12月から翌年4月ごろに河口でとれた稚魚を、半年ほどかけて養殖池で大きく太らせ出荷します。

とは言え、最近の漁獲量は増えてきたようにも見えますが、1950年代から続く低迷を脱したと言える状況ではありません。にほんうなぎに限ったことではありませんが、過剰な乱獲は避け、生息環境を悪化させない、という努力がなされて欲しいです。