かじか - 減少傾向、絶滅への危険性が高い淡水魚

カジカ大卵型 Cottus pollux LEカジカ大卵型 Cottus pollux LE 、四国島内では香川県のみで生存が確認されている貴重な淡水魚です。1980年代では中讃地区の1河川でも確認できていましたが、今ではその姿を見ることは困難です。本会調査でも確認できていません。ダム建設、河川改修によって絶滅の危機に瀕しています。

そのため、香川県カテゴリー 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)、香川県内の希少野生生物(絶滅のおそれがある野生生物)のうち、特に保護を必要とする種に指定されています。カジカ大卵型 Cottus pollux LE指定希少野生生物は、生きている個体の捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という)が原則禁止されていて、違法に捕獲等した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が適用されます。本会でも取り扱いが許可されているSTAFFは限られています。カジカ大卵型 Cottus pollux LE

カジカ大卵型は、スズキ目カジカ科に分類される日本固有種、一生を淡水で過ごすことから河川陸封型とも呼ばれています。全長10~15㎝、河川上流部の石礫底に生息しています。小魚や川虫などを食べています。

生息が確認できる残り1河川では、河川で採取した卵の孵化による人工養殖と放流の試みが図られており一時期個体数はかなり回復しました。しかしながら、一時期増えた個体数も減少傾向にあるようです。定点観測しているある地点では、2020年5月→25個体から2021年12月→3個体と大幅な個体数の減少が認められました。ダム工事と貯水の影響からか、シルトの流入が増え、水量も減っていました。そのような現状にも関わらず人工養殖の取り組みの縮小が検討されているようです。

カジカ大卵型の繁殖期は3月~6月、瀬の石の裏側に、直径3~4mmのうすいオレンジ色をした卵を密集して産み付けます。一時的であるにしても、砂防工事やダム工事に伴う土砂流出により浮き石が埋没したり、流水が枯渇することにより局所的な個体群が全滅する可能性があります。浮石等の環境維持はもちろんのこと、工事に伴う土砂の流入で浮石が埋没しないような配慮が必要ですが、例えば椛川ダムの工事ではそんな措置は十分に取られていません。

SDG’s(持続可能な開発目標)のひとつに掲げられる「陸の豊かさも守ろう」を守るために、行政やダム管理事務所は、アカザのような希少な生き物を守り、生物多様性の保全に積極的であるべきだと本会は提案します。