ぶるーぎる - したたかなインベーダー

ブルーギル Lepomis macrochirusブルーギル Lepomis macrochirus 、本県では平野部のため池を中心に、ため池に連結する水路、河川などで見つけることができます。ブルーギルが侵入したため池は、ほぼ本種に優占され、たまにヨシノボリ類が残存します。

スズキ目サンフィッシュ科に属する淡水魚の一種で北アメリカ大陸原産。同サンフィッシュ科のブラックバス同様、日本でも分布を広げた侵略的外来種、特定外来生物/総合対策外来種(緊急対策外来種)に指定されています。自然水域への試験放流は、伊豆の一碧湖が初めて。ブルーギル Lepomis macrochirus現在では、日本各地の湖やため池に分布しており、ブルーギルのいない水域を探すことの方が難しいくらいに殖え続けています。

3年前にヤリタナゴやアブラボテなどが確認された、とある河川のたまりにブルーギルが侵入し、ヤリタナゴとアブラボテは姿を消し、ブルーギル王国になってしまいました。ブルーギルが侵入してしまったため池などの閉鎖的水域では、他の淡水魚類を見つけることが困難です。コイとオオクチバスは除いて。

池干ししたとしても完全駆除することが難しくオオクチバス以上に厄介な外来種、わずかな水たまりで生き延びるしたたかなインベーダーだと感じています。

浮遊動物、水生昆虫、エビ、水生植物などを好み、魚卵や小型魚なども捕食する雑食性で、在来種を絶滅に追いやります。

繁殖期は6月~7月、オスが作ったすり鉢状の巣で産卵が行われます。卵から孵化した仔魚が稚魚になる寸前まで7~10日程度、オスが保護します。1回の産卵数は平均的なサイズの個体で21,000~36,000粒、魚体サイズが大きいほど1回の産卵数は顕著に増加し、全長235mmの個体では64,000粒に達するそうです。ブルーギルは一産卵期に多回産卵を行うことが広く知られています。

外来生物法で特定外来生物に指定されていて、愛玩・鑑賞の目的で新たに飼養することは禁止されています。ブルーギルを許可なく野外に放った場合、個人については、懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金が課せられます。本会でも採集した際は、サギなど鳥類のエサになってもらっています。