「ルリヨシノボリ」との出会い

 気温は5℃を下回り、ちらほら雪の舞う中淡水魚調査、香川県ではなかなかお目にかかれない淡水魚を見つけたので紹介したい。

 今回紹介する魚とは、ルリヨシノボリ Rhinogobius mizunoi だ。ルリヨシノボリは両側回遊型の比較的大型のヨシノボリ類で、国内では北海道〜九州と比較的広い分布域を持つ魚。眼の下に瑠璃色の斑を持つことが大きな特徴で、琉球列島に生息するアヤヨシノボリ Rhinogobius sp.MO を除けば、この特徴を持つヨシノボリは国内で他にいないので判別は簡単だ。しかし瑠璃色がしっかり出ていない個体も多く、網に入った時は少し戸惑う。鰭の赤っぽい感じはカワヨシノボリに、体格や模様はオオヨシノボリに似ていてかなり異質なヨシノボリという印象を受けた。

 個人的には暗色時にでる美しい琥珀色の鞍状模様が一推しポイント。このような綺麗なルリヨシノボリだが香川県では絶滅危惧II類に指定されている貴重な魚。本会の調査でもこれが初確認となった。今回は複数個体確認できたが、県内の生息地はわずか。この生息地も少し特殊な条件の場所で、なおかつ範囲も広くないことから砂防ダム建設などによって環境が一変すれば一瞬にしていなくなる可能性が高い。また生息地の規模から採集圧の影響も大きく受けると考えられる。そのため積極的な保全や今後の調査での新たな生息地の発見が強く望まれる。