生物群集解析をやってみた#1

 類似度指数を用いた生物群集解析に最近ハマっている。群集生態学の研究では、生物群集構造の比較解析が群集動態把握の基礎となる。複数の生物群集間の構造を比較するには、群集類似度指数を用いた解析が行われることが多い。類似度とは、ある群集Aと群集Bの間の類似性に関する指標だ。簡単に言うとどの程度 A、B両群集が似ているかを定量的に示すものである。近年開発されたChao指数は希少種を考慮した汎用性の高い類似度指数として優れている(土居・岡村,2011)らしい。

 とりあえず、今春香川生物学会で発表予定の「香川県東讃部におけるカワバタモロコ調査の記録」の調査データを、Bray-Curtis指数にて解析してみた。調査データは投稿論文を参照されたい。解析はRのveganパッケージを使うことによって数秒で終わる。結果は下段の通り。種構成と個体数からBray-Curtis指数を算出すると、St.CとSt.Fの群集が最も似ているということになる。たしかにSt.CとSt.Fは近接している。ただ、個体数というのは曲者だ。個体数を採集個体数とすると、採集日時、採集ポイントによって、同じ池でも大きく変わる。採集条件の統一が重要だ。では、Horn指数だとどのように変わるか?次回はHorn指数を試したい。

※土井秀幸・岡村寛.2011.生物群集解析のための類似度とその応用:Rを使った類似度の算出、グラフ化、検定.日本生態学会.61:3-20

※Bray-Curtis指数の算出結果
St.A St.B St.C St.D St.E St.F St.G St.B 0.9921875 St.C 0.6953642 0.9583333 St.D 0.5120643 0.9831933 0.9757576 St.E 0.9755352 0.9726027 0.9831933 0.9578947 St.F 0.8214286 0.9230769 0.3055556 0.9720280 0.9793814 St.G 0.3492063 0.9838710 0.4588235 0.9834025 0.9897436 0.6621622 St.H 0.9777778 0.8750000 0.9032258 0.9699248 0.9770115 0.8500000 0.9565217

※Rコード
rm(list=ls())
library(MASS)
library(vegan)
data<-read.csv("D:/table.csv",row.names=1)
vegdist(data,method="bray")