とぼけた顔して刺激的-アカザ

アカザアカザ(Liobagrus reini)は、ナマズ目アカザ科アカザ属に分類される、日本固有種です。香川県では、アカザシ・アカマンキリとも呼ばれています。

全長8~15㎝、宮城県・秋田県以南の本州、四国、九州に分布します。香川県ではごく限られた河川でしか見られません。

水のきれいな河川の中流~上流下部の瀬の石の下や間に生息しています。そもそも香川県は水が少ない上に、砂防ダムやらゴルフ場やらキャンプ場などの工事のために土砂が流れ込み、石の多い礫底の場所がさほどありません。

そういった事情で、絶滅危惧Ⅰ類に香川県ではカテゴリーされています。環境省カテゴリーでも絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

本会調査でもお目にかかれることが少ない淡水魚です。似たような河川でも、あちらの河川では見られ、こちらの河川では見られないというような状況があり、堰やダムなどの河川横断物によって生息域が分断され、その分断された生息域で絶滅が徐々に進んで数を減らしているのかな?ということが予想される淡水魚です。

見た目は非常にユーモラス、赤いナマズということになるのでしょうか、二ホンナマズとはだいぶ感じが違います。

昔は、どこにでもいたようで、ご年配の方に聞くと、アカザを手づかみで捕獲したと言ってました。ぬるぬるな魚であり、毒をもつので、手づかみするのは、ちょっと気が引けてしまいます。

そう、毒なんです!アカザの毒がある部分は、胸びれと、背びれの部分。棘条(きょくじょう)と呼ばれる、トゲトゲとした部位の1本だけですが、毒線を含んでいます。アカザに刺されると痛みが走り、刺されたところは赤みを帯びた状態になってしまいます。

とぼけた顔して刺激的な淡水魚です。

産卵期は5~6月頃で、石の下などにゼリー状の卵塊を産み、卵は雄が守る習性があります。

清流をデジタル大辞泉で調べると「川などの、清らかに澄んだ流れ」となります。この解釈でいくと、栄養塩の流入があるの河川環境や停滞した流れのところは、清流にはならないような気がします。

アカザは淡水魚のなかでも、非常にデリケートな魚です。生息できる環境は、清らかな流水に限定されています。アカザこそ、清流のシンボルであり、香川の川がいつまでもアカザが棲める川にしたいものです。

ちなみにホタルは清流のシンボルとはなりえないと考えています。ホタルはカワニナがいないところには棲めないからです。カワニナは、それほどきれいな水に棲んでいるわけではありません。「きれいな水」のサワガニやヘビトンボと「ややきれいな水(以前は、少しきたない水と表現されていました)」のゲンジボタルの生息域は、重なっている部分もあるかもしれませんが、清流(きれいな水が流れる川)に限るとは言えないからです。

詳しくは、環境省発表の「平成30年度全国水生生物調査の結果及び令和元年度の調査の実施について」をご覧ください。

平成30年度全国水生生物調査の結果及び令和元年度の調査の実施について https://www.env.go.jp/press/106852.html